カロリーアンサーコラム
黄昏 Beginning Communicate 第21回 2017年6月13日

豆腐の話

豆腐と芸者は固くて(堅くて)は売れぬと京都の豆腐屋さんが意味深な言葉をインタビューで話していたのですが私、合点がいきました。20号で高得点を獲得した豆腐は所沢の「〇むろ豆腐」と「男〇特濃ケンチャン豆腐」でしたが男〇は京都産なのです。

実は検証を重ねていた時、男〇の含水率が他の9種に比べると1.5%ほど高く(カロリーアンサーの測定値は勿論ですが、前処理時にすり鉢を使って潰しているので口に入れる前に分かります)、水臭くて薄いのかなと思っていたのです。ところが、思惑は外れ豆乳のクリーミーさに甘みが加わり口どけも良いというような塩梅でした。塩を振って食べても、とても美味しい豆腐でした。(あくまでも個人的な感想ですが)されど豆腐、侮るなかれ。

ついでと言っては何ですが「真綿でくるむ」とか「真綿で首を絞める」という表現で使われる真綿とはコットンではない事を初めて知りました。(新幹線の座席に備えている月刊誌に四季島の特集があり)東京西川が真綿製の布団を納めたのだと。蚕の繭をほぐして絹糸を紡ぐらしいのですが凄いとしかいいようのない手仕事なのですね。

クールジャパンとか日本を無理やり過大に評価する事には辟易していますが職人の気の遠くなるような手仕事にはただただ尊敬と感謝という言葉しか浮かびません。自分の仕事は最終判断を上司に委ねている部分があるのですが丁寧で誠実な職人の手仕事から学ぶべき点が山ほどありますね。

カロリーアンサーで栄養成分を測定する時、前処理(縮分や性状)が重要な事は色々な場面でお伝えしていますが、先日プレゼン中にこんなことがありました。洋菓子メーカーをお招きした時のことです。コンビニエンスストアで販売している商品は一定の管理水準にあるものとして、実測値(カロリーアンサーによる測定値)と参考値(商品に表示してある値)との比較試験を必ず実施しているのですが、大きなトラブルに遭遇しました。

結論を申せばカロリーの実測値が参考値に対して-20%、脂質が-40%でした。こんなはずはないと数回繰り返すも同じ結果。カロリーアンサーの実測値が正しいはずだと説明するも、公的な検証を行って報告する事になりました。食品分析機関へ依頼し結果を待ったところ回答が。カロリーアンサーの実測値が分析値に近い事が証明されほっと胸を撫でおろしました。

おそらくは材料の攪拌時に生じる投入口や出口部分のムラであったと思います。日々のルーチン的な検査において瞬時に変化点を認識出来る事がカロリーアンサー最大のメリットかも知れませんね。

続く…。

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