カロリーアンサーコラム
黄昏 Beginning Communicate 第37回 2018年4月10日

目利き

近頃は生産者と直接取引を行い市場を経由しない産直が流行りですね。

道の駅をのぞけば生産者の写真が掲示され、トレースは完璧です。

その昔、リンゴ園にはボストンバッグに札束をぎっしり詰めた仲買人が来て「いついつ(もい)いでくれ」と収穫の適期まで指示して、畑を丸ごと買い付けしていました。

仲卸には、自身の経験則や確かな目で良い物を見極めて小売りに引き渡すという重要な役割もありました。

トレーサービリティ自体は現在の仕事を標準化する上でマストでありますが、美味しさや味とは直結していません。そういう意味では産直マルシェという仏国の市場を真似た対面販売は、安心安全の醸成のみならず味に対する評価も双方が直接認識出来るので、拠点の増加や規模の拡大は消費の動向を反映したものになるのではないでしょうか。

1970年代前半に、いわゆるISO(当時はイソと呼んでいました)を知り、ネジ山についての統一した国際規格を知りました。

もちろん、JIS規格に関連する仕事を行っていましたから、必ず品質の優劣や善し悪しを判断する数値的なルールが存在しました。

モノを作るにあたっては寸法や強度といった基準があり、鉄砲玉の不発を調査するような検査基準に基づいて品質の維持や向上に精魂を傾けました。

現在(いま)でいうゼロデフェクト(ZD)という1/100万の不良も出してはいけないという途方もないモノ作りの目標があったので、鉢巻を巻いて頑張ったものです。

ある時、茨木からサツマイモの仲卸さんが訪ねてきました。皮付きのサツマイモを5種ほど持参し、自身の目(判断)とカロリーアンサーの判断が合っているか比べたいという相談でした。

皮付きで20cmほどのさつまいもを袋から選び出し、美味しいと思われる順番に5本並べたのです。

もちろん、私の目には全く同じサツマイモにしか見えなかったのですが、カロリーアンサーで測定すると炭水化物のウエイトが並べた順番通りの数値を示したのです。

それだけでも凄い!の一言でしたが、さらに「ホテルが欲しいのは今食べて一番美味しい状態の食材」「一方で数日寝かせながら捌く商売もあるから鮮度は勿論だけど、追熟するもの、完全に熟しつつあるものなど見分けて出荷している」とおっしゃっているのにはただ脱帽でした。

流通コスト削減だけでなく味は大丈夫なのかな?と心配しているこの頃です。

続く…。

ページの先頭へ↑